CIE系色空間プロットの基本機能
CIE系色空間プロット機能について
DPExではCIE表色系のLab及びLuvのプロット機能を持っています。CIE表色系とは国際照明委員会が標準化したカラーモデルを示します。特にLabとLuvは均等色空間と呼ばれるカラーモデルです。例えばRGB色空間は赤・青・緑のディスプレイの物理的な信号強度を数値化したもので、色の差ということを考えるとき数値の差が同じでもそれが暗部が明部かによって見え方の差は異なります。これに対し均等色空間は必ずしも完全ではありませんが、色空間上で距離が同じであればその色は人間に感じる知覚的な色の差が同じと考えることができます。この特性を利用し、撮影した画像の実際の色とのずれや、色の分布をより人間の感覚に近い形で捉えることができます。尚、表現方法としてベクトルで表す*(スター)と色度で表す'(プライム)がありますがLabはスター、Luvはプライムでのプロットに対応しています。
この説明ではこれらの色空間について簡単に説明していますので、より詳細な情報が必要な場合は色彩工学の書籍等をご覧いただくか、掲示板までご質問ください。
通常モードとJPEG直接取得(YCbCr Direct)
プロット機能を使うにはまずプロットモードをメニューから選択したあと、画像データの取得方法(変換方法)を選択します。左側の通常モードでは画像を一度RGBに展開しそれをCIE系色空間に変換、プロットします。これに対しJPEG直接取得モードではJPEG画像に含まれるYCbCr(色差)情報から直接CIE表色系に変換します。このとき実際にはRGBを経由しますが色域クリッピングによる情報損失なく変換されます。つまり通常モードでは実際にディスプレイに表示されるデータを、また直接取得では実際にJPEGに含まれている色情報をプロットします。
JPEG直接取得した場合、色域外としてクリッピングされる部分は白でプロットされます。
カラースペースメニュー
次にカラースペースメニューから適切な画像の色空間を選択します。この色空間とはRGB色空間における色空間を示します。通常のデジタルカメラはsRGBで記録されていますが、一部のデジタルカメラではAdobeRGBやNTSCのモードをもつものもあります。sRGBにはCとD65がありますが、これはホワイトバランス定義を示しています。これら二つは白の位置がずれるだけでプロット上はほとんど違いがありませんが、PhotoshopのLabモードにおいて編集した画像はよりsRGB(C)に近似しています。sRGBの規格ではD65が標準とされているためD65による処理も可能となっています。
CIE a*b* 色分布
L*a*b*カラーモデルにおいてL*は明度、つまり色の明るさを示しています。a*は+側(グラフの右側)は赤、-側(左)で緑です。ただし完全な緑や赤ではなくあくまで方面です。b*は+側(上)で黄、-側で青となります。これらのa*b*が直交して交わり交点は無彩色です。つまり黒と白は必ず中央に収束します。
a*b*プロットはちょうどこのカラーモデルを上から眺めた状態となっています。そのため彩度が低いものほど中央に、彩度が高いものほど中央から距離が離れます。
表示されている枠は選択したカラースペース(sRGB、AdobeRGB、NTSC)の色域を表しています。切り替えてみるとsRGBの色域がAdobeRGBより狭いことがよくわかりませす。AdobeRGBの画像をそのまま(sRGBとして)表示すると彩度が下がってしまうのもこのためです。
CIE u'v' 色度分布
L*u*v*カラーモデルにおいてL*(明度)はL*a*b*のL*と同等です。このu*v*を色度(色の比)で表したものがu'v'です。u'v'色度分布では、このu'v'を色度図上にプロットします。一番外側の灰色の線はスペクトル軌跡と呼ばれ人間の感じる色域を示しています。これより外の領域は紫外線等不可視領域と考えられます。JPEG直接取得においてはこのような領域にもプロットされますが、これは色の処理が絶対位置としてではなく相対的に行われているためです。つまり色域から遠くなればスペクトルからも外れるわけですが、これは無効な色情報が記録されているわけではなく画像処理(ただし色域クリッピングを行わない場合)によって色域内に入る可能性もあります。
その内側の線が選択したカラースペースの色域です。各頂点から中央に向けて線が引かれていますがこれは原色とその中間色を示す線です。それが集まる部分がホワイトポイント(白)を示しています。
CIE 3D L*a*b* プロット
a*b*色分布及びu'v'色度分布においては主に色相情報を見ることができますが、輝度情報については表現されていません。輝度情報を捉えるためには3次元的に見る必要があります。L*a*b*を三次元空間にプロットすると左のような図にすることができます。ただこのような静止した状態では位置がわかりにくいという問題があります。そこでDPExではプロット領域をマウスでドラック&ドロップすることにより様々な角度からリアルタイムに動かしながら解析することができます。
|
|
|
|
|